新型コロナウイルスによる肺炎を発症したおそれのある外国人が確認されている香港発の大型クルーズ船「ウエステルダム号」に対し、赤羽一嘉国土交通相は7日の閣議後会見で、8日に予定していた那覇港への入港をしないよう要請したことを明らかにした。政府が出入国管理法に基づき、ウエステルダム号に乗っている外国人の入国の原則拒否を6日夜に決めたことを受けた措置。
赤羽国交相は、ウエステルダム号に乗船している外国人を入国させないよう、全国の港湾管理者に要請したとも述べた。
菅義偉官房長官は7日午前の会見で、ウエステルダム号には5人の日本人が乗っていることを明らかにし、「帰国に関しては、今後の入港経路を考慮しながら適切に対応していきたい」と述べた。船を運航する米国ホーランド・アメリカ・ラインは「すみやかに代替案を検討する」としている。
国交省によると、2月中に日本に立ち寄る予定がある大型クルーズ船は、ウエステルダム号のほかに計4隻。うち外国船籍が2隻、日本船籍が2隻だという。同省は運航会社を通じて確認しているが、現在までのところ、新型肺炎の症状が出たという報告は上がっていないという。今後、これらのクルーズ船でも新型肺炎が疑われる乗客がいることを把握した場合には同様の措置をとるという。
国交省や船舶の位置情報を公開するサイト「マリントラフィック」のデータによると、ウエステルダム号は2月1日に香港を出港してツアーが始まった。5日に台湾南部の高雄を出港。7日朝時点で沖縄・石垣島の南を航行している。
世界のクルーズ船の情報をまとめた「クルーズ客船データブック」によると、ウエステルダム号はオランダ船籍で、全長285メートル、幅32メートル、総トン数8万2862トン。958の客室があり、乗客の定員は約2千人。(贄川俊)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル